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01. 式を駆る者
荒ぶる闇の蠢き
其れは時媚鬼の所作り
近付く謀りの蟲毒
彼は醜き驕り
深い邪にまみれた
血みどろの業
虚に流し込めども
今式を打つ
撫でた護符を塗り潰し
其の時を待つ
罪穢れの澱みを着せて
果てなき夜の導き
其れは餌食の虚耗
凍てつくばかりの孤独
此が邪道の報い
無惨な繰り言に
耳を貸しながら
無漏の閾値を探る
今式を打つ
撫でた護符を塗り潰し
其の時を待つ
罪穢れの澱みを着せて
折しも限りの月を叢雲が呑み
卒塔婆を彩る花は夜風に揺蕩い
今式を打つ
撫でた護符を塗り潰し
其の時を待つ
罪穢れの澱みを着せて
02. 桜花ノ理
春つ方天空の彼方に暈けて
垣間見ゆ一片の秘めた意図
明日の見えぬ頽廃の渦中で
洞ろな雲は散り落ちて
深い闇に根差す
桜花の花弁の薄闇にて
逢見ゆ人知れぬ蜘蛛の糸
鹹草のごとく生くる力
憂き世の蜘蛛は地に落ちて
やがて巣を廻らす
今狂い咲きの桜の下では
泡沫の紡糸
夢の淵で佇むあの日の
忘れかけていた理
春つ方天空の彼方に暈けて
今狂い咲きの桜の下では
泡沫の紡糸
夢の淵で佇むあの日を
邂逅すれど独り
されど今狂い咲きの桜の下では
泡沫の紡糸
夢の淵で佇むあの日の
運命られた理
春つ方天空の彼方に暈けて
03. 塗り壁
旅路を行くは一方の
畏れを知らぬ剛の者
七部過ぎたるその刹那
見る目敵わぬ巨大な壁が
上を下へと取り乱し
途方に暮れて立ち尽くす
明日の宵には山越えて
邑君の許着かねばならぬ
嗚呼 繋ぎ止めた明日が
音もなく遠ざかり
繰り返す遺響の囁き
想いが潰えたと泣くより
この身が朽ちる際まで 弛みなかれ
忌々しくともとぼとぼと
兵どもが夢の跡
読むことも口惜しく
持ちたる杖で裾野を掃う
信じ難きやおとろしや
何時しか壁は消え入らむ
八方の手を尽くさねば
答えは出せぬ此の世はをかし
嗚呼 咎認めたはずが
音もなく立ち竦み
蒸し返す回向も眩き
想いは潰えたと泣くより
この身が朽ちる際まで 弛みなく
想いは潰えたと泣くより
この身が朽ちる際まで 弛みなかれ
04. 癲狂院狂人廓
炎天の強者 悦楽の亡者
肝胆の闇を嘗め尽くす
暗澹の聖者 雀躍の狂者
淫乱の波を攻め尽くす
深い自虐の曼荼羅を
手繰り上げる厭世行為
愚かしくも もどかしくも
それが運命と
惨憺の隠者 欠落の念者
根元の神を舐め尽くす
背信の従者 赫奕の盲者
絢爛の民を焼き尽くす
冥い被虐の曼斗羅を
なぶり上げる下卑た憩い
なやましくとも あさましくとも
それが運命と
業・罪・愛 狂人の唄声を乗せて
遣る方無き交わり合い
繰る糸の先にも輪をかけて
報われぬ者の功罪
深い自虐の曼荼羅を
手繰り上げる厭世行為
愚かしくも もどかしくも
それが運命と
業・罪・愛 狂人の唄声を乗せて
遣る方無き交わり合い
繰る糸の先にも輪をかけて
報われぬ者の功罪
05. 八咫烏
裏の山で啼く烏が
ふらりと飛んでくる
屋根の上につと群がり
誰の死を告げる
黒い濡羽を振り乱し
骸をはむ奴等の影法師
伍人死んだらまたおいで
羽音が呼ぶ涅槃の凪風よ
屋根の上で啼く烏の
いと醜き声
旋回するあの参羽が
次の家を探す
黒い濡羽を振り乱し
骸をはむ奴等の影法師
伍人死んだらまたおいで
羽音が呼ぶ涅槃の凪風よ
口の煩い 物忘れする
意地の汚い 流浪の民よ
神の御先と 敬い崇め
その啼き声を 啓示と畏れる
06. 歪む月
冷たい水の底で
死を待つように横たわる
幾年数えたのか
この身は朽ちてゆくばかり
見上げる水に揺れる白い月
貴方の骨のように清い光で私を刺す
嗚呼 叫びは泡と消えてゆく
嗚呼 貴方の流した血に濡れた
喉が今も紅い
貴方を殺めたのは
消し得ぬ鱗の欲望
嘲り嗤うように歪む月
愛した人を喰らう様を
その身に移さないで
嗚呼 終わらぬ水の地獄なら
嗚呼 血濡れた鱗の罪に泣く
この息の根を止めて
月は総てを射抜く光で
私の骸を晒すのでしょう
嗚呼 終わらぬ水の地獄なら
嗚呼 血濡れた鱗の罪に泣く
この息の根を止めて
07. 帝図魔魁譚
近代的 怪 象徴的 他意
現存する雑魚の群れに 畏る者は皆無
影法師に礼 其は原寸大
因果律の形骸化は 滅びを招かん
精神的 戒 月夜の犬吠
遠い記憶呼び覚ませど 胸の内は大霧
欺瞞は誇り 誇りは詛い
先天的痲人ならば 憂世は楽し
明けても暮れても 寸暇を惜しみて
祝いと呪いの 苧環紡げば
彼の魁岸は星の蔭に 巡り続けるだろう
この開成も月の影を 照らし続けるだろう
先進的 問い 退廃的解
懇願する烏合の衆 取るに足らぬ拝舞
魔障を調伏 されど返り討ちで逝去
能書きだの 蘊蓄だの蛆でも喰わない
眠れど醒めれど 頭を離れぬ
正負を織り交ぜ 苧環紡げば
彼の魁岸は星の蔭に 巡り続けるだろう
この開成も月の影を 照らし続けるだろう
彼の魁岸は星の蔭に巡り続けるだろう
この開成も月の影を 照らし続けるだろう
08. 化外忍法帖
嗚呼 骨が哭く
谿谷に独り佇み
風が告げる
仇討ちの愚かな末路
徒野 泪に朦朧と
化外の躯が飛び散る
願いの刃に掛けた
夢は遠過ぎる
食み出したる
まつろわぬ化外の民は
人目避けて
里を生しその時機を待つ
鳥辺野 那由他に浪々と
裁きの随意に流れ行く
願いの刃に掛けた
夢は遠過ぎる
何を求め
誰も待たず
徒野 泪に朦朧と
化外の躯が飛び散る
願いの刃に掛けた
夢は遠過ぎる
09. 奇子
鮮やかな暗闇に独り 嗤う尽る白い徒花
幾重もの秘め事に揉まれ
生まれ出たことも消されて
愛を知ることもない間に 姶を白肌に堪えて
闇を出ることも叶わず、閉ざされた時の涅から
咲いても花に成れぬ悲劇の野草
その身を晒すことは月への戯笑
裂いても離れ得ぬは渾て惑い
闇に融け堕ちてゆく 涅槃まで
鮮やかな嬌態に燃えて
血織り交ぜる黒い風穴
澱みから忌み事は生まれ
痼り残す それは人の性
愛を知ることもない間に 姶を白肌に堪えて
闇を出ることも叶わず、閉ざされた時の涅から
咲いても花に成れぬ悲劇の夜想
その身を晒すことは尽き得ぬ魔性
裂いても離れ得ぬは渾て惑い
闇に融け堕ちてゆく 涅槃まで
「我が子に姉と呼ばれ、
この手に抱くことさえ許されず
思うが儘、されるが儘に、
私という個は陵辱される」
「寒いよ・・・暗いよ・・・怖いよ・・・厭だ・・・出して・・・」
「此の世に生を愛けた者を、
己の私利私欲の為に物同然の扱い。
貴方達は、狂っています。
心のない、人間の皮を被った、醜い、鬼です。」
「お外に出たいよ・・・ お祭りが見たいよ・・・
おべべが着たいよ・・・ おごっそ食べたいよ・・・」
「あたしの心は、極限の閉塞の中で
歪んだ宝石になって燃え上がり、凍りつき、
愛することを求めて漂うの。」
生きながらにして 悦びを知らず
幽玄の澱で 哀を貪る
夜には嗤い 朝には踊る
暗闇に住まう、妖艶な蟲よ
愛を知ることもない間に 姶を白肌に堪えて
闇を出ることも叶わず、閉ざされた時の涅から
咲いても花に成れぬ悲劇の野草
その身を晒すことは月への戯笑
裂いても離れ得ぬは渾て惑い
闇に融け堕ちてゆく 涅槃まで
10. がいながてや
おぉいちにぃの、さんよいどぉ。。 *14
おぉとろっしゃぁ どげながぞ がいながてや
ええろ、ええろて 皆ゆうちょらい
まだ若いがに しゃんとしちょらい
右上がりで 飛んで跳んで舞って
(てやてやてやてや)
好きながてや 歌唄うが
新しい夜が明けて 仄めきだす宇宙
(がいながてや)
明日の真ん中では 光浴びて泳いでいたいよ
嘘やないちや まっこと がいながてや
下手の横好きこそ物の上手
右回りで もうて儲けないわい
(てやてやてやてや)
止めれんがよ 音紡ぐが
新しい夜が明けて 仄めきだす宇宙 (がいながてや)
明日の真ん中では 光浴びて泳いでいたいよ
おぉいちにぃの、さんよいどぉ。。 *2
おぉとろっしゃぁ どげながぞ がいながてや
新しい夜が明けて 仄めきだす宇宙 (がいながてや)
明日の真ん中では 光浴びて泳ぐ
真新しい世が明けて 輝きだす宇宙
(がいながてや)
水の元のほとリで 光浴びて咲くや此花が
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